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障害のある体をありのままに愛し、受け入れる。「障害を治す、治る」「自分のことは自分で」と考える方向性は障害者を孤立に向かわせてし…

骨形成不全症の安積遊歩さんは、障害者運動や障害学に関心のある人なら知らない人はいないでしょう。かつて安積遊歩さんは、アメリカ バークレー自立生活センターで研修を受け、ピアカウンセリングを日本に紹介しました。

彼女は、40歳の時に娘の宇宙(そら)ちゃんを出産。宇宙ちゃんも母親と同じ、骨形成不全症です。

母親として揺れながらも、娘の宇宙ちゃんが手術を拒否し、自分なりに自立していく姿を真横で、応援し、見守っています。
それは、障害者である自分が子どものときから「障害を治す」ために何度も不要な手術を受け、周囲に障害者であるありのままを認められずに若くして逝った仲間たちがたくさんいた、という背景も語られています。

また、いまだにどうしても残っている優生思想、出生前診断なども語られています。
障害者の自立は、「自己決定権や選択権を行使できること」といまでは捉えられていますが、それに加えて「よりよい相互依存の関係を築くこと」と彼女は述べています。

競争を排し、つながって助けあえることはぜんぶ助けあってやろうという価値観が社会の主流になったら、障害をもつ人たちはとても生きやすくなるのです。

『いのちに贈る超自立論-すべてのからだは百点満点』安積遊歩著 株式会社太郎次郎社 エディタスより発売中

[執筆者]
太田 啓子

[プロフィール]
立命館大学 衣笠総合研究機構 客員研究員。博士(学術)。専門は、障害者福祉、障害学。「職業訓練における指導員のジレンマ-職リハの取り組みを通して」横須賀 俊司, 松岡 克尚編著『障害者ソーシャルワークへのアプローチ―その構築と実践におけるジレンマ―』など執筆。