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「家に閉じこもりがちだった生活から、シンシアがいることで外出の機会も増えました。シンシアがいなければ、僕の人生はなかった。」重い…

シンシアは、手足の不自由な人のために、物を拾ったり、ドアを開けたりして生活を助ける介助犬です。

全国に十数頭といわれる介助犬のうち、兵庫県にはこのシンシアしかいません。まだ補助犬法が制定される前から活躍していたシンシア。木村さんがシンシアと一緒に、自由に電車に乗ったりお店に入ったりするのはとても難しかったことが描かれています。

介助犬の受け入れが進まないなかで、同伴すればかえって行動が制限されることも多かったのですが、それでもシンシアといる安心感は何にも代えがたい、と木村さんは述べています。

シンシアは、毎日遊びの延長のように楽しく「お仕事」をしています。「グッドガール!」シンシアはほめられるのが大好きなのです。

シンシアの好きな食べ物は、ドッグフードと豆腐。「シンシアがロボットではなく、細やかな感情を持ち、甘えたり、反抗したり、いたずらをする生き物だからこそ、いとおしいのだ」父娘という強い絆がそこには見られます。

「障害や介助犬のことを自分の問題として考えられる人を増やしていくのが、私たちの役目」木村さんの熱い思いは社会を動かしていきます。

『介助犬シンシア』木村佳友 毎日新聞阪神支局取材班著 毎日新聞社より発売中

[執筆者]
太田啓子

[プロフィール]
立命館大学 衣笠総合研究機構 客員研究員。博士(学術)。専門は、障害者福祉、障害学。「職業訓練における指導員のジレンマ-職リハの取り組みを通して」横須賀 俊司, 松岡 克尚編著『障害者ソーシャルワークへのアプローチ―その構築と実践におけるジレンマ―』など執筆。