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国指定の難病、シャルコー・マリー・トゥース病を患い、障害をもちながら地域生活する中で、よく思うことなどについて綴っています。電子…

私が何かの事業を起こす。ずいぶん前からぼんやりと、将来への願望としては考えていたことなのだけれど、何か、というのはイマイチ明確ではなかったし、一緒にやってくれそうな人も真剣に探す気にもなっていなくて、ずっとただの夢に終わりそうだと思っていた。そんな私にチャンスが舞い降りてきた、と直感的に思った。「チャンスは1回だ!(私の持論)」。
昨年夏に末梢神経学会という学会が大阪であって、私が所属している患者会、CMT友の会がブースを出した。患者会の活動の1つに、ドクターなど病気にかかわる人たちへの周知活動もあり、私はそこに1日目、スタッフとして参加していた。難病指定されている病気というのは日本では300疾患以上あるが、この学会に患者会のブースを出していた別の難病をもつ人と意気投合。一緒に何かできないかな、治療や体調に配慮しながら持続的に収入を得る手段はないか、と考えたときに出た答えが起業だった。
それから数か月で私たちは、旅行会社「櫻スタートラベル」を設立し、2016年12月、大阪府で第3種旅行業登録の認可を受け、正式に開業した。
そもそも私がシャルコー・マリー・トゥース病という診断を受けたのは2歳の時。子ども時代も徐々に進行は感じていたが、大学まで普通に進学し、卒業後は外資系のコンピューターメーカーでバイヤーとして勤務した。ところが、なんでも張り切りすぎたのがたたって数年後にはダウン。そこから別の重篤な病気にも運悪く感染してしまい、2年間も入院生活を送った。数年後、大学院に入学してからは専門の福祉を現場でも学ぼうと、研究活動を続けながら様々な仕事をアルバイト、嘱託職員など非正規の待遇で経験した。
福祉現場以外にも大学や看護学校等で社会福祉を教える講師の仕事もしながら、でも結局のところ、常勤で正社員として勤務できたのが、新卒で入社したコンピューターメーカーのときだけだったと気づくのである。
いまでも特に季節の変わり目や気圧の変動が大きいときには、体調をよく崩してしまう。なんでも「やりすぎ」「頑張りすぎ」というのも私の体には後々、負担をかけてしまうようだ。様々な仕事を転々と経験してきた背景には、そんな私の体調に配慮したから、ということも大きかった。体調のコントロール、難病者にとっては人生が続く間の大きな課題でもある。そうであれば、本当にやりたいことを仕事にしたい、そんな思いが強かった。
旅行会社「櫻スタートラベル」は、治療や体調面で問題を抱え、一般就労が難しい難病者や障害者という立場である私たちが設立した。私たちなりの方法で、社会とつながりたい、社会貢献がしたいという強い思いを実現する方法としての起業である。事業趣旨に共感し賛同してくださったたくさんの人から温かい応援、ご支援をいただいて、感謝の念は絶えない。会社のロゴも、以前働いていた職場の元同僚にデザインしてもらった。
一方で、現実問題として、私たちはいつも体調の変化や病気の進行にも、向き合っていかなければならないということもある。
 『行きたいところに 行けるうちに
  会いたい人に   会えるうちに
  やり残したことを やれるうちに』(代表 櫻井純)
自由に動ける限られた時間の中で、少しでも「やりきった!」と思える人生にしたい、櫻スタートラベルの代表は私にそんなことをよく言う。難病者の持続可能なビジネスモデルとして櫻スタートラベルを軌道にのせていきたいと、初詣でお祈りして私たちは2017年をスタートした。私自身もこの会社を設立したことで、人間関係もさらにひろがっていくのがますます楽しみな1年になりそうだと、実はワクワクしているのである。


櫻スタートラベルでは、国内外の旅行や出張に関する手配一切はもちろん、旅行にサポートや配慮の必要なお客様からの相談や手配、講演も承っております。
健常者が当たり前に楽しんでいることを、障害者など配慮の必要な方にも負担なく楽しるような企画もどんどん立てて実践していきます!お問い合わせはメール、FAX、電話で受け付けております。
詳しくはHPをご覧ください。http://www.sakurastartravel.com/

[執筆者]
太田啓子
[プロフィール]
シャルコー・マリー・トゥース病という難病により、車イスユーザーの障害当事者。現在は、仕事をしながら趣味を満喫しつつ、地域生活をしています。好きなことは、食べることときれいな景色を眺めてぼーっとすること。