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国指定の難病、シャルコー・マリー・トゥース病を患い、障害をもちながら地域生活する中で、よく思うことなどについて綴っています。電子…

この夏の出来事である。たまたま撮ってもらってたまたまSNSにあがっていた自分の写真を見て、愕然とした。「えー!?激やせしてるやん、私!」しばらく前から、食欲がなくなり、食べてもほんの少ししか食べられなくなっていた。その数日後には、SNSを見て、アメリカにいる姉からも「心配になったけど大丈夫?」とメールがきた。激やせしたのは暑い夏だから、というわけではなかった。

この1年で私を取り巻く環境は大きく変化した。とても嬉しい姉の結婚。同時に高齢の父親を緩やかに見守りつつ、ヘルパーさんに手伝ってもらいながら私が家の事をすべて把握する生活になった。
そしてこれまでの仕事に加え、昨年末から始まった新しい旅行業の仕事。いままでになかった経験と新しくできた人間関係は、私を成長させてもくれるし楽しいものではあるけれど、慣れていないからいろいろな面でドキドキすることも確かに多い。
極めつけにストレスが溜まっている、とweb広告を見て手を伸ばしたサプリメント。使い続けているうちに、いつの間にかなぜかスリムを通り越してすっかり痩せてしまっていた。あぁ、私って。

もちろんサプリメントをすぐにやめ、そうするとなぜか食べられるようになってきて、いまやっと少しずつ回復の兆しを見せているところである。
ストレスだけではない。私には目の前の不安以外にも、病気や障害に起因した、漠然とした将来への不安も大きい。年齢を重ねるごとに、ことに最近どんどん大きくなってきたような気がしている。人に話を聞いてもらったらいいよ、あまり思いつめないように、好きなことを思いっきりやってみたら。キレイな景色を見に行ったりちょっとだけ贅沢をしたり、ペットショップの動物に癒されたり。アドバイス通りにやってはみるけれど、正直なところ常に気が張っていてあまり効果は実感できていない。

私の病気は、できなくなることが増える病気だ。それは加齢でできなくなるのとはちょっと訳が違う。緩徐性なので1年や2年といった短いスパンでは分かりにくいけれど、5年、10年といったスパンでは、確実に進行は体の動きで実感される。動きにくいからといって余計に動かさないでいたら、ダメだ。面倒でも動かさないと!毎日思い出したようにぎゅーっと指を伸ばしたり、腹筋運動をしたり。
最近、担当の相談員の紹介で訪問リハを受けるようになった。週単位で日々の変化にも気づいてもらえ、少し不安材料は減ったように思う。

これから寒い冬がやってくる。
末梢神経障害で冷え性の私には、特につらい季節だ。世の中にあふれている冷え対策をいろいろ試してみたが、私の足の冷たさに勝てるものはまだ見つかってはいない。
毎年進化してどんどんあったかくなるヒートテックを早めに買って、今年はなんとかこれで乗り切ろう。

[執筆者]
太田 啓子

[プロフィール]
シャルコー・マリー・トゥース病という難病により、車イスユーザーの障害当事者。現在は、仕事をしながら趣味を満喫しつつ、地域生活をしています。好きなことは、食べることときれいな景色を眺めてぼーっとすること。