ケアでひろがる、ケアでつながる 支えあいの情報モール HELP ON HELP

15年前にスタートした「ケアする人のケア」の研究事業。立ち上げ当初に出会った二人がそれぞれの気づきや成長を語り合うコラム。 今回は…

奈良の森口さんへ 北海道の中村です。 季節はすっかり初夏になりましたね。近年北海道の夏は暑くなっていて「温暖化の影響かしら?」と思うほどです。家庭菜園で庭に植えているナスやトマトの苗が暑さと水不足で乾燥しかかっていて、慌てて水をあげています。本来作物には水をあげないで育てる方がいいと教わりましたがさすがの水不足で緊急対応です。美味しい野菜を食べることができる日も近いかな。 【7月の壁絵「水遊び・和金魚」】

森口さんの「何が大事か」に立ち返る習慣を身に着けたいとの前回コラムでの言葉を受けて今回はあるイベントに参加してきたことを書きたいと思います。先日「ケア・カフェ北ひろしま」というイベントが札幌市のお隣の北広島市でありました。 ケア・カフェは2012年に旭川の緩和ケアの医師が、ワールドカフェ形式を用いてケアに関わる人々の顔の見える関係つくりと相談の場所の提供として開催したのが始まりです。テーマを決めてカフェで雑談するように話し合い相談しあって良い地域ケアを目指すことを目的にしています(ケア・カフェ北ひろしまフライヤーより抜粋)。 ケアに携わる人は誰でも参加でき、カフェなのでコーヒーなどを飲みお菓子をつまみながら1テーブル4名でテーマについて話します。ケア・カフェ北ひろしまは主催者が音楽療法士さんという特色があり、開催までの間に生のピアノ演奏があり、本格的なネルドリップコーヒーが用意され、会場も大きな窓から白樺並木が見え「結婚式もできそう」な位に素敵な場所でした。話すことそして聴くことのどちらも大切にしながら語り合いは進んでいきました。時間が来たらグループメンバーを変え同じテーマについて話します。最後に要点を手短に発表するという流れでした。この時のテーマが「支える」。支えるについて感じることを話す中で、「支えることは寄り添うことではないか」「支えていると思っていたのに実は支えられていた」というお話が次々語られました。ケアするとケアされるは常に反転しながら関係しあうことをケアする人のケア研修会で学んだ事を思い出しました。そしてここは自分たちの仕事の原点は何であったのかに立ち戻ることができる場の一つなのではないか感じました。このケア・カフェはあっという間に全道全国に広がり、現在33都道府県102か所で開催されているそうです。それぞれの場所で実行委員会ができ地域の方々が集まって語り合っているのです。それだけ求められていたことなのでしょう。このイベントに参加したことをとんぼ玉の中でも話し合いました。「支えることって伴走することだと思う」という見解も出て「伴走」もいい言葉だと思いました。高齢者のケアの留まらず、医療ケアや精神福祉などそれぞれの分野の垣根を越えて交流できるカフェに発展していくことを望みました。 この度ケア・カフェ北ひろしまに参加したのは実行委員代表の方が知人であることと、とんぼ玉にとある依頼があったからなのです。とんぼ玉の作品を見てきた代表の方が「やさしい作品をつくるとんぼ玉さんにFacebookのプロフィールとカバーに載せる作品を作ってほしい」と希望されたのです。

【ケア・カフェ北ひろしまに提供したクラフト】 とんぼ玉もNGOのタイの子供たちにプレゼントする栞のデザインや介護情報雑誌への企画提供、子供向けの制作セット作成など活動が多岐に渡ってきています。森口さんとお会いしていた頃も数々の素敵な出会いがありました。あの頃は自分自身の心も環境も準備が整っていず、出会いだけで終わってしまっていました。あれから15年たち今は出会いを活動に発展させていくことができる環境も整っています。「自分の仕事の本来の目的はどこにあるのか」を自分の中に定めて、気負わず依頼も取捨選択し前に進んでいきたいです。 今更ながらですが、ケアする人のケア研究会が発行したブックレットはどれも秀逸ですね。読み返してもハッとする内容ばかりです。「生き直しの物語を紡ぐ」の中に対人援助に携わる多くの職種で自己の客観的分析やセルフケアについての教育課程が少ないとの内容がありました。私も前々から感じていて、今度看護師の教育現場にいる友人とも話してみようかと思っています。 これから夏本番。汗かきの私は「デトックス!」を思いながら大汗をかいて過ごすと思います。それも楽しみです。森口さんはお子さんと海に山にと大忙しでしょうか。夏休みの自由研究でお困りの際は、ぜひとんぼ玉にご相談くださいませ(笑)。 2015年6月 中村明子