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今回から6回にわたり中島孝之ドクターによる「お年寄りの食生活」についてのコラムがはじまります。第1回は、「高齢者の食事の注意点」…

お年寄りの生活の中で食事は大切なもののひとつです。今回からは高齢者の食事について考えてみます。 ①食事は、外界からさまざまな物を取り入れて利用し、生命活動を営む大切な要素です。一般に栄養素といわれる必要な物質を含んだ食物をとることを、食事といいます。また食事には、空腹感、食欲、好み、環境、雰囲気、食感、温度、香り、などの多くの要素があります。どんなに栄養たっぷりの食事でも食べる気にならないような状況では、うまく栄養がとれません。単に食事を作るというだけでなく、おいしく食べるための努力が必要です。 ②食事のもうひとつの要素は食べやすいことです。口に入る大きさ、噛む時のかたさ、食品の量など、ひとりひとり違っています。単にトロトロに軟らかい、細かくきざんである、ミキサーにかけて流動物にしてあるから食べやすい、というわけではありません。本来、噛みごたえのあるかたさや、ひとつずつの食材の差を感じるのもおいしさの大事な要素です。  ③時間的な要素も大切です。朝ごはん、昼ごはん、晩ごはん、おやつ、それぞれが、ふさわしい内容や時間に摂れるような工夫が必要です。どれも同じ内容や形、昨日も今日も明日も同じ、では満足できる食事とはいえません。  在宅介護のなかで食事を作る機会は少なくないでしょう。味つけについてもそれぞれご本人の希望にそって工夫しておられることと思いますし、満足していただける食事を作るのは、なかなか大変な作業です。食事は健康状態や病気の治療にも直接関係することですから、しっかりとお考え頂きたいと思います。  次回からは、それぞれの栄養素、蛋白質、ビタミン、ミネラルなど個々についてお話しします。 [執筆者] 中島孝之 [プロフィール] 1943年生まれ。関西医科大学卒業同大学院修了。医学博士、脳神経外科専門医。1990年大和郡山にて中島医院開業。奈良県立盲学校校医・非常勤講師。元大和郡山市医師会会長。1998年大和郡山市介護保険要介護認定モデル事業委員長、同市要介護認定審査委員。奈良介護保険研究会世話人。