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ここ数年で日経平均は2倍以上に。しかし「経済成長=しあわせ」とはなかなかいかない。株価の上昇とは関係ない、しあわせの法則が自然豊…

日経平均は、ここ数年で2倍以上に! 株を持っている方にはうっとりしてしまう状況でしょうが、みなさま実感はありますか?

『藻谷浩介さん、経済成長がなければ僕たちは幸せになれないのでしょうか?』は、コミュニティデザイナーの山崎亮さんとエコノミスト藻谷浩介さんの対談。
地方には、自然の恵み、顔の見える人間関係など、都会にはない魅力があり、お金はなくとも楽しそうにやってる人がたくさんいると、山崎さん。経済成長を否定しないが、ある程度の豊かさが蓄積された後は経済成長がしあわせを約束するわけではない、と藻谷さん。

で、著者も、この本に登場した島根県の海士町(あまちょう)に行ってきました。境港の近くの港からフェリーで波に乗って4時間。船を降りるなり出迎えてくれるのは、そこらじゅうに貼りめぐらされた「ないものはない!」のポスター。
都会にある贅沢品はない。でも、それは無くてもいい。人生にだいじなこともは、すべてある。物があふれるのにしあわせを実感できない、都会の人を蹴飛ばすような力強いコピーです。

車に乗れば1時間ほどで1周できてしまうちいさな島ですが、タクシーに乗っても、旅館に泊っても「海士町に住みにおいで」との勧誘。前向きでパワフルな島の人の心意気に、いいなあ、と共感。

山の本もご紹介。『21歳男子、過疎の山村に住むことにしました』。 現役の大学生だった水柿大地さんは、彼女にふられたのをきっかけに岡山県の美作町上山で地域おこし協力隊に参加。自然や村の人とのやりとりがポジティブでいきいきとした文体で語られます。
東京と岡山を夜行バスで往復しながら、なんとか大学を卒業後、そのまま移住を決めてしまいます。こちらも海士町と同じく移住者やファンが増えているようです。
おもしろいところには、おもしろい人が集まり、おもしろいことが起きる。株価の上昇とは関係ない、しあわせの法則があるようです。

【この原稿は、奈良の地域マガジン『さとびごころ』http://satobigokoro.org/から提供いただき再掲したものです。】

『藻谷浩介さん、経済成長がなければ僕たちは幸せになれないのでしょ うか?』 藻谷浩介(著),山崎亮(著)学芸出版社 2012年

『21歳男子、過疎の山村に住むことにしました』 (岩波ジュニア新書) 水柿 大地 (著) 岩波書店 2014年

[執筆者]
嶋田貴子

[プロフィール]
2002年より奈良暮らし。図書館司書を経て、奈良の地域マガジン『さとびごころ』の編集&執筆に携わる。 あちこち出かけて、見たり、知ったり、食べたりすることが好き。そして、志のある人に出会って、お話を伺うのも大好き