少子高齢化時代といわれて久しい昨今、ますます高齢者は増え、認知症患者も増えています。認知症になれば、記憶が失われ、言葉が失われていく。そしてそれは多くの場合、進行していきます。
ほとんどの人は認知症になることを不安に思い、できるだけ避けたいと思うことでしょう。
そんな認知症患者に寄り添うセラピードッグの活動があります。
 

日本におけるセラピードッグの活動は、歴史的に見ても認知的に見ても、また効果の実証という面から見てもまだまだ浅くて、実践の蓄積がまずは求められているという段階なのかもしれません。ましてや、身体障害者補助犬法のように法律が根拠になっているものでもありません。
けれども、この本を読めば確かにプラスの効果がありそうだ、ということはわかるはずです。たとえば、怒っている人が目の前にいるとき、その怒りの原因を考えるのではなく、怒りを鎮めるためにできることをセラピードッグは考えるのです。
相手の立場や感情にちゃんと向き合うからこそ、認知症患者である高齢者は、セラピードッグの前では安心し、自分を取り戻すことができるのです。
これって実は、本当にすごいことではないでしょうか??

『セラピードッグの子守歌 認知症患者と犬たちの3500日』真並恭介著 株式会社講談社より発売中

 
[執筆者]
太田啓子

[プロフィール]
立命館大学 衣笠総合研究機構 客員研究員。博士(学術)。専門は、障害者福祉、障害学。「職業訓練における指導員のジレンマ-職リハの取り組みを通して」横須賀 俊司, 松岡 克尚編著『障害者ソーシャルワークへのアプローチ―その構築と実践におけるジレンマ―』など執筆。