2017年、105歳で天国へ逝った日野原重明氏は患者や医療関係者だけではなく、社会の多くの人に多大な影響を生涯与え続けてこられました。
第二次世界大戦で多くの命を救えなかったこと、よど号ハイジャック事件に乗り合わせ4日間過酷な時間を犯人と過ごしたこと。地下鉄サリン事件の被害を受けた人たち600人以上を病院に受け入れたこと。大きい事件も日常のこともすべてが日野原氏の人生観をつくりだすきっかけとなっていて、優しさ、という言葉では到底表すことのできないその人柄が本書の中でもたくさん見つけられて、人生の指針を与えられたような感覚を持ちました。



 

日野原重明氏が生涯大事にしてきたのは、「出会い」です。人との出会い、物事との出会い。でも一番言いたかったことは、未知なる自分との出会い、なのです。「キープオンゴーイング」。経験したことのないものに人は恐れや不安を抱くものですが、それでも前を向いてどんな困難であったとしても、未知の領域であったとしても進んでいく。
きっと新しい自分との出会いは、ワクワク楽しいもののはずなのです。

困難だと途方に暮れてしまうとき、「遠くを見ましょう」。そうすると別の角度からも見れて案外うまくいくのかもしれません。問題となっている足元ばかり見ず、人のせいにもせず、希望を持ち続けて建設的に物事を考えられるときっとうまくいくきっかけにつながるはずです。

章末の「日野原氏の言葉」の数々もとても心に響くものばかりでした。

『生きていくあなたへ 105歳どうしても遺したかった言葉』日野原重明著 株式会社幻冬社より発売中

(執筆者、紹介)
執筆者:太田啓子
立命館大学 衣笠総合研究機構 客員研究員。博士(学術)。専門は、障害者福祉、障害学。「職業訓練における指導員のジレンマ-職リハの取り組みを通して」横須賀 俊司, 松岡 克尚編著『障害者ソーシャルワークへのアプローチ―その構築と実践におけるジレンマ―』など執筆。