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奈良の森口さんへ
北海道の中村です。

こちらは2月も寒さ厳しく、雪多く、冬を満喫(笑)しています。でもそろそろ白一色の世界に飽きてきました。そんな時は家の近くにある公園の温室につつじの花やミモザの花を見に行くのです。そろそろミモザが見頃になってくるので近々行こうと思います。

奈良の森口さんへ
この書き出しもこれで一度おわりですね。森口さんとの往復書簡のやり取りはとても楽しかったです。

4年の間に私も仕事の軸足を移し、病気もし(これは余計だった!)様々な事がありました。森口さんもお子さんが成長され職場が変わりといろいろあった4年間だと思います。改めて21回に及ぶ書簡を読み返してみると、かなり読み応えのあるものになっていますね。素敵な記録が残ったと感じています。

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3月のカレンダー「春のお菓子」
 
私は創作工房とんぼ玉として活動をしながら保健師としても働くようになりました。20年ぶりのヘルスケアの仕事です。今、地域密着のスーパーマーケットがつくった、住民の健康寿命を延伸するための健康ステーションという所に期間限定で在籍しています。そこでは運動を中心に「楽しみ」や「健康の講座」が提供されています。ステーションの運営を担っていただく「役割」も住民の方にお願いしています。私の主な仕事は健康相談と運営のお手伝いです。

そのステーションで男性シニアの方がお話してくれたことがとても印象的でした。以下その方が語ってくれたことです。
「子供に老後の世話などの迷惑をかけないようにと考えてきた。子供が小さいときには怪我や失敗をしないように、大人になってからは親のことで辛い思いをさせないようにと。しかし最近それは違うと思った。子供に苦労をかけることにした。親を看ることは子供としての役割だ。守ってばかりが親の役割ではない。世の中の苦労や負担を経験させることも大事なのだ。」

子供に迷惑をかけないようにと口癖のようにおっしゃる方が多いです。昔に比べると親の面倒を24時間みる子供世代は少なくなっている気もします。でもお互いに面倒をかける、かけられるの繰り返しが親子の自然な営みです。迷惑をかけたくないという思いが必要以上に強くなってきていることが現代の特徴なのかもしれません。男性シニアの方はそれを考え直したのですね。

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2018年春の壁絵 祇園の夜桜

このお話を聞く少し前に京都市立芸術大学学長鷲田清一先生の平成29年度入学式辞を読みました。「つくる」ことの大切さと共に「市民である私たちが失ってしまった力」についてお話されていました。「市民としての私たちが失ってしまった力」の中に「ケア」があると。とても素晴らしい式辞で何度も読み返すためにスマートホンの中に保存してあります。
2つのお話が不思議に続いて、心に響きました。

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冬休み子供工作 落ち葉の絵

前回森口さんのコラムで「ケアする人のケア」の活動拠点を「ケアの文化研究所」にされた経緯が書かれていました。私は昨年から住民同士の助け合いをされている方々のミーティングに定期的に参加させていただいています。そこは支えあったり横に繋がったりすることを活動から運動へ、そして文化にしようという考えをもっていて、私も賛同しています。「ケアの文化研究所」のネーミングは素晴らしいと思いました。物がある豊かさから暮らしの豊かさへ価値観をシフトしていく中で「ケア」はとても重要なキーワードになっていく気がします。ケアの豊かさ楽しさ面白さは意識しないと見えないところがあります。普段私も見失いがちです。エピソード記述などの手法や様々な研修会、哲学や倫理などの学問との融合でケアを目に見える形にしてその価値を確認する。自分も含めケアを身近に取り戻すことを考えこれからは行動していけたらいいなと思います。

勤めている健康ステーションで聴く地域の方のお話は、暮らしの豊かさに繋がるエピソードが満載で心のメモ用紙はいつも満杯です。これからの人生に役立ちそうでワクワクしています。
森口さんの「子供のアート会」活動も気になりますし、インクルーシブリサーチも興味津々です。往復書簡のコラムは終了しますが個人的に文通を続けていきたい気持ちです(笑)。出逢って18年あまり。これからもどうぞ仲良くしてください。そして北海道と奈良で距離は離れていますが「ケアの文化」つくりを一緒に行っていきましょう。
中村明子