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北海道の中村さんへ
奈良の森口です。
「森口さんの冬の楽しみは何でしょう?」という問いを前回のコラムでいただきました。関西もいよいよ冬の寒さが本格的になり、やはり私の楽しみはお風呂だという確信にいたりつつあります(笑)。冷え性なので冬はいつも足元が冷たくなっていることが多く、湯船に浸かると体も心もまるごと全部リラックスするように感じます。
中村さんの通院は落ち着いてこられましたか? 病気との向き合い方や付き合い方は人によりさまざまですが、治療前の体力づくりというのはあまり考えたことがありませんでした。私も人間である以上、いずれ病気になることもあるでしょう。私自身「努力をすることで納得できる」タイプなので、病気になったときの向き合い方についておおいに学びになりました。
さて、去年の11月の終わりに子どもたちの「アートの会」(まだ仮称です)を開催しました。次男が小学校にあがるのにあたっての「サードプレイス」づくりです。
 事の発端は、さかのぼること6年前、現在小学6年生の長男が小学校に行き始めて最初の個人懇談で、担任の先生が「森口くんは、○○の科目はよくできますね。○○はもう少し・・・」と話し始められたことでした。同じ世代のほかの子どもたちと比べて「できる・できない」というモノサシが強い場所が学校なんだと改めて感じました。
保育園では「去年よりこれができるようになったね」「○○くんはこれが苦手なのに、がんばってやろうとしている」というふうに、その子自身の変化や成長を見てもらっていたのだと、この時初めて気がつきました。考えてみれば、私自身が親になりたての頃、どうしても他の子と成長を比べてしまっていた思考や価値観を、保育園に通うなかでずいぶん矯正してもらったのでしょう。
学校の先生は担任になった1年間しか子供を見ないので、他の子と比べてどうかというモノサシで見るのは当然のことだと思います。だからこそ、その子自身の成長や変化や頑張りを見てあげないといけないと思いました。
 同時に考えたのが、子どもにとっての学校と家庭以外の場、まさしくサードプレイスの必要性です。「できる・できない」だけではなく、本人が楽しいと思えるかどうか、どれだけ夢中になって没頭できるか、そんなことが認められる自由な場所があったらと思い、そのためにはアートがぴったりだと思ったのです。


彫刻家の高橋夏樹さんが作ってくれたイス見本2種

「アートの会」の実施にあたっては、アーティスト(彫刻家)の友人がイスづくりのアイデアを出してくださって、工務店をやっておられる親御さんが廃材で材料を準備してくださいました。当日は親子あわせて30人ぐらい集まって、上々のスタートとなりました。
 開催場所はやはり奈良公園!観光客が行き来する奈良公園の奥のほうに、人がほとんど来ない広場があって、子どもたちは思いっきり走り回って、木登りや秘密基地づくりなんかも楽しんでいました。もちろん、イスづくりの時間はみんな一生懸命。年長さん(5~6歳児)たちが中心だったのですが、釘を打ってイスを作るのは適度にハードルが高く、かなり集中して作っていました。


次男作のイス。なぜか椅子の下に装飾があり(見えない…)、持ち帰った次の日には椅子の横に「ビー玉を転がすレール」なるものがつき、さらに背もたれがつき……。

子どもが機嫌よく何かに集中していると、親もゆっくりできるんですよね。親子が集まって遊ぶだけでもいいのかもしれませんが、アーティストが手伝ってくれて「それ、おもしろい!」とユニークなモノサシを示してくれることが大事だと思っています。そして、何気なくやったことや、たまたまできあがった作品を、あえて「アート」と言ってみることで、子どもも親も、自分自身のものの見方(モノサシ)を育んでいくことができればなあと考えています。

次は子供たちが小学校に行ってからの開催を予定していますが、私にとってこの取り組みはサードプレイスになるのかしら? 「主催する」ということは、無心にただ楽しむというわけにはいかないので、やはりセカンドプレイスなのかも?
……そんなことを考えていたとき、たまたまエイジングをテーマとした講演会で、「これからは人生90年と思ってライフプランを立てなければ。セカンドライフというと“余生”というイメージが強かったけれど、これからは定年まで勤めた仕事とは別のことにチャレンジできる時間や体力が定年後に十分ある!」という話を聞いてきました。これからの時代、第4番目、第5番目の場所がもてるということなのかなと、久しぶりに「目からウロコ」を感じた講演会でした。

私の場合は、まず思いつくことが畑です。田舎暮らしを始めた友人が、家の前の畑で気ままに野菜を作って、その自然のサイクルに合うような日常を送っていたのを見たときに、「今の私にはこんな暮らしはできないけれど、もう一つの理想だなぁ~」と思いましたが、セカンドライフが「余生」でないなら、実現できるかもしれませんね。
 あとは、「里親になる」というのも、もう一つの理想ですね。ただ、セカンドライフで里親というのはさすがにしんどそうなので、子ども食堂か……いや、食堂もハードルが高そうだから、子どもが放課後にお絵かきができる場所(とりあえず、画用紙と画材と机がある)ってどうかな、とか……。

考えるだけなら自由ですからね。冬に家にこもっている間にいろいろと考えようと思います。
 あ、こういうのも、冬の楽しみかもしれませんね。

 中村さんの次のコラムは春の壁絵かな?こちらも楽しみにしています。
2017年1月 森口弘美