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今回は、奈良県五條市にある高齢者施設「友喜苑」に伺いました。

活動内容

 「友喜苑」は奈良県五條市にある高齢者施設です。同法人の障害者支援施設に暮らしていた入所者の方々の高齢化に伴い、一部生活移行が進められているということで見学に伺いました。

運営法人 社会福祉法人三寿福祉会(奈良県五條市住川町1165-4)
 開所  2010年4月

 三寿福祉会は、障害者支援施設「つわぶき苑」、福祉工場「旭」、介護老人福祉施設「友喜苑」「友幸苑」、認知症老人グループホーム「友徳苑」「友楽苑」、在宅総合型施設「友語苑」などを運営している社会福祉法人です。

 友喜苑が2010年4月に開所するときに、障害のある人のスペースをつくりたいと考えられました。それは、1988年(昭和63年)に開所した主に知的障害のある人が入所されている障害者支援施設「つわぶき苑」の入居者の方の高齢化がすすんでおり、年齢を経た方々が個別のケアを受けながら生活できないかと思ったことにあったそうです。
 現時点では、つわぶき苑は多床室(2~4人部屋)で個室ではありません。また、多世代の人(20~80代)が生活されているため、環境的に騒がしく、個別のケアが難しい面もあるとのこと。そこで、ご本人の年齢や身体的・精神的な状態をみて、友喜苑に見学に行き、「ここで生活したい」と意思表示をされた方について生活移行を検討されるそうです。見学に行った段階で、「いや」「つわぶき苑で慣れた入居者とともに暮らしたい」と意思表示をした人には生活移行をすすめることはないそうです。
 友喜苑で暮らしたいという意思表示をされた方については、ご家族も含めて話し合い、見学や体験を経て生活を移行されます。1つのユニットを見学させてもらいましたが、そのユニットでは3分の1くらいが障害のある人とのことでした。午前中に伺ったところ、リビングでのんびり過ごされていました。また、個室で好きなものを持ち込めるようになっていました。友喜苑に移ってから、のんびりした生活空間がその方に合ったのか、食事の量が減っていた方の食事量が増えたということもあるそうです。また、しっかりとした看取り対応をする、ということもされていて、個室で好きな本やぬいぐるみを置いて、好きな音楽を流して看取ったこともあったそうです。
 障害福祉サービスから介護保険サービスへの移行にあたっては、入居者の方の出身市町村との協議を行う、介護認定を受けるなどのステップも必要ですが、行政と連携しながら行っておられます。現状では、本人のことをきちんと伝えたら要介護3の認定は受けられているとのこと。

 友喜苑に移行後の生活環境の変化に、ご家族が戸惑われることもあるそうです。つわぶき苑では、ご本人の意向を反映しつつ施設職員とともに日用品の買い物に行ったりしていましたが、友喜苑では、日用品は原則ご家族にそろえてもらうことになります。施設から施設への移行とはいえ、友喜苑のルールに慣れてもらうしかないところなようです。
 課題としては、支援者の障害の特性理解があげられるとのこと。外国人技能実習生の方も働かれているので、基礎から伝えていく必要性があるとのことでした。

 障害者支援施設から介護老人福祉施設への住み替えという選択肢について、慣れた場所で住みたいという考え方とともに、年齢にあわせて住む場所を変えるという考え方もあるということを感じました。年を重ねるにしたがって、周りのペースと、自分のペース(体の状態の変化を主として)が違ってくるなかで、同じ場所で住む、新たな場所で住むといういろいろな選択肢があるということの重要性を感じることができました。