ストーリーは忘れていたとしても、読んだことのある方が多いのではないだろうか。なんてったって、にんじんばたけのパピプペポ、ですもん
小さいころ、繰り返し読み聞かせてもらった、想い出深い絵本です。
ストーリーはすっかり忘れていたけれど。
母の体温を感じる大切な時間でもありました。
そうそう、バラの花を持っている こぶた になりたかったんだっけ。
一番ににんじん色のほっぺになる こぶた がうらやましかったんだっけ。
私だったらレンガで何を創ろうかな、そんなことも考えてたかしら。
あらためて、こどもに読み聞かせてみます。子ブタの名前がとっても軽妙、パタ、ピタ、プタ、ペタ、ポタ、、、、。名前を読むだけで、こどもがすぅっと惹きこまれていくのがよくわかります。「なに~この名前~」「あぁっ、ケンカしちゃダメだよね。。。」その後の文章もずっとリズミカル。笑いあり涙ありのヒューマンドラマのよう、教訓めいたことも散りばめられていますが、徹底してこども目線で描かれた絵本です。
今の私がこの絵本から受け取ったメッセージは、主に4つ。
ひとつ目は「母の愛」。
こぶたたちが人参を持ち帰ったときの一文‘おかあさんぶたは、もっとよろこんで‘のところ、じーんと染みわたります。
2つ目は、「昔ながらの生活密着言葉を大切にする」。
‘くさとり、みずまき、うねつくり、まびき、むしとり、こやしまき‘なんていう言葉、実感を伴って知っているこどもたち、どれくらいいるかしら。
声に出して読んでみると、とっても豊かな言葉です。伝えていきたいものです。
3つ目は「何かしら自分のできることで社会に貢献する」こと。
最後に「いい子(人、モノ)でも悪い子(人、モノ)でも、どんな子(人、モノ)でも、愛される存在であること」です。
1本の人参を育てるのに、どれだけの資源と労力を注いだか。怠けものや嘘つきにも、必要な助けの手は差しのべられる。
「誰もがあるがままで大切にされる存在である」ことを、楽しい韻に包まれながら、しみじみと感じました。
一匹ずつ丁寧に表現されている キャラクターたち。著者の愛あふれる絵本。こどもにも、大人にも、おすすめです。
にんじんばたけの パピプペポ かこさとし おはなしのほん(8)
かこさとし著
出版社: 偕成社; 2版 (1973/11)
ISBN-10: 4032060800
ISBN-13: 978-4032060805
[執筆者]
三輪 知子
[プロフィール]
あろままlife with aroma&cooking主宰。夫と小さなこどもとの3人暮らし。元ソーシャルワーカー、子育て楽しみ中。精油をつかったトリートメントサロン、精油のワークショップ、自然食のクッキングクラスを開いています。自然の恵みをめいっぱい感じながら、もっと肩の力をぬいて、もっと楽な暮らしを。