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障害者である自分は何のために生きたいのか。家族のため、仲間のため、恋人のために生きる。垣内さんがバリア(障害)から解放された気づ…

たいていの人は皆、障害者にはなりたくない、障害者である人生は不幸だと思うことでしょう。
それは裏返せば、健常であることへの果てしない憧れでもあります。

垣内さんは、骨形成不全という遺伝性の病気、障害をもっています。ずっと「みんなと同じように歩きたい」という強い願いを持ち続けて生きてきました。

それが、自分は何のために生きたいのか、とあるとき考えます。出てきた答えは、「家族のため、仲間のため、恋人のために生きなければいけない」。
そう気づいたとき、足で歩くことが自分のすべてではない、と思えたそうです。

障害があろうがなかろうが、人は自分以外の人のために生きていなければいけないのです。

度重なる骨折、心肺停止、入院、手術・・・「いつ、何が起こるかわからない人生です。それでも、人生の幅は自分の力でいくらでも変えることができると、信じています。長さではなく、幅にこだわりたい」

健康に不安があったり、障害があったりすると、とかく人生の充実度を考えるものです。
自由に動け意思を表出できる時間が短いと感じている人は、特に「いま」を必死に生きています。
経験から導き出された説得力のある哲学がつまっていました。

『バリアバリュー 障害を価値に変える』垣内俊哉著 株式会社新潮社より発売中

[執筆者]
太田啓子

[プロフィール]
立命館大学 衣笠総合研究機構 客員研究員。博士(学術)。専門は、障害者福祉、障害学。「職業訓練における指導員のジレンマ-職リハの取り組みを通して」横須賀 俊司, 松岡 克尚編著『障害者ソーシャルワークへのアプローチ―その構築と実践におけるジレンマ―』など執筆。