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知的障害のある人が調査をする側になったらどんなおもしろいことがあるだろうーそんな思いつきからスタートしたわくわくするプロジェクト…

2016年春に、たんぽぽの家が運営するケアホーム「有縁のすみか」に、新しいカフェがオープンしました。

この新しいカフェを『みんなが行きたくなるカフェ』にすべく、障害のある人と研究者、学生、福祉事業所スタッフなどとが一緒になって、地域に住む様々な属性をもつ人への調査活動を2015年の秋~2016年3月まで行ってきました。

このプロジェクトの参加者は、ジョイアススクールつなぎ(所在地:奈良市)の福祉型専攻科学生5名、たんぽぽの家(所在地:奈良市)の障害のあるメンバー5名を含み、研究者、大学生、福祉事業所の支援者など、あわせて30人弱(もちろん、私も参加しています!)。

今回のプロジェクトでは、多様な属性を持つ人たちが参加する、まちづくりがメインテーマになっています。
障害のある人たちが、いままで障害のある人と出会ったことのない健常者の構えを取り除き、一緒に「楽しい」「わくわくする」時間を共有していくプロセスが、たくさんここから読み取れることでしょう。

そこには、参加した人たちの、熱い思いもたくさんつまっています。

これまで障害のある人とほとんど出会ったことのない人からの、このような感想が聞かれるに至った背景やきっかけについての記述は、とても印象的です。
関係性ができるにつれ、お互いの発言量も増していき、構えがとれてくると笑顔が増えていく、そんな1つのモデルとしてプロジェクトの提示はできそうです。

全体として、こうやって、障害のある人とない人は、「仲間」になっていくんだろうなぁ、すべての人にとって生きやすく優しい社会が、こうやってつくられていくんだろうなぁということを実感させてくれる報告書になっていました。

これから、障害のある人と「ともに」何かをやってみたいと思っている人には、たくさんのノウハウもつまっていて、とても参考になりそうです。

この調査研究は、公益財団法人三菱財団「障害のある人から学ぶまちづくり協同研究(プロジェクト代表:森口弘美)」の助成で行われました。

[執筆者]
太田啓子

[プロフィール]
立命館大学 衣笠総合研究機構 客員研究員。博士(学術)。専門は、障害者福祉、障害学。
「職業訓練における指導員のジレンマ-職リハの取り組みを通して」横須賀 俊司,松岡 克尚編著『障害者ソーシャルワークへのアプローチ―その構築と実践におけるジレンマ―』など執筆。