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国指定の難病、シャルコー・マリー・トゥース病を患い、障害をもちながら地域生活する中で、よく思うことなどについて綴っています。電子…

先日、15年以上のガラケーユーザーからついにスマホデビューを果たした。売り場のスタッフに「エライ古い携帯をお使いだったんですねー」とびっくりされつつ、10年近く愛用した携帯との別れを惜しくも告げた。私は友達の間でも、最後までしぶとくガラケーを使っていた部類なのかもしれない。
利用料金もスマホよりずっと安いし使い慣れたものは安心だし、そんなに携帯ってそもそも使わないし、とガラケーユーザーをまだまだ続ける気ではいたものの、電池がダメになってきて、それでついにやっと買い替える決心をした。
スマホを使いだして、ラインもメッセンジャーもいままでパソコンでやっていたものが、リアルタイムに確認できるようになり、友達との交流も拡がった。あぁ、知らない間に時代は進んでいたのね、と実感。
最初、タッチパネルをうまく操作できるのかと、指に麻痺があり力がうまく入らないので不安だった。電話がかかってきたら素早く出ないと切れてしまうし、文字入力だってスムーズにしたい。同じ病気の患者会の人たちもスマホをみんな持っているから、たぶんできるのだろうけどそれでもなんだか自信はない。何度も友達のスマホで練習して、同じ機種を購入した。ブックカバータイプだと持ちづらく、すべりにくいシリコンカバーも購入。
買ってから気づいたのが、充電ケーブルの差しにくさだった。指でつまむところが小さくて、差し口は丁寧に扱っていても中で断線しやすいと聞いていた。そこで新たに購入したのが、充電スタンド。
これでやっと環境設定は整った。心配していた文字入力も、音声認識の高い精度にびっくりしたぐらいだ。


新しくて少し使い方に慣れないといけないものを買ったとき、私はいつもワクワクよりもそわそわ落ち着かず、なんだか不安にすらなってしまう。いつも環境設定や使い慣れるまでの工夫をして、イメージトレーニングもやってから、初めて新しいことに挑戦しているような気がしている。
車につけたオートボックス(車いすを自動で格納する装置)を買ったときもそうだったし、お風呂にリフトをつけたときもそうだった。使いやすく便利になることを目指して、新しいものを導入したはずだったのに、実は慣れるまでが極度に不安なのである。使い方に慣れれば、生活が格段に便利になることを経験からもわかってはいるのだけれど。

この先も私はこうやっていくのだろうな、と思っている。いろいろな工夫をしながらでないと、徐々に動きづらくなっていく体とうまく付き合っていくことはできない。やりたいことは諦められないから、工夫がうまくできるまでの不安と付き合いながら、生活が便利で楽になるグッズを探している毎日なのである。

[執筆者]
太田啓子
[プロフィール]
シャルコー・マリー・トゥース病という難病により、車イスユーザーの障害当事者。現在は、仕事をしながら趣味を満喫しつつ、地域生活をしています。好きなことは、食べることときれいな景色を眺めてぼーっとすること。