国指定の難病、シャルコー・マリー・トゥース病を患い、障害をもちながら地域生活する中で、よく思うことなどについて綴っています。電子…
先日1泊2日で沖縄を旅行してきた。ここ数年、足の調子もいまいちパッとしなかったから旅行は難しいなぁと、日帰りドライブぐらいしかやってこなかった。それでも、昨年から旅行会社をやっていて、いまは人にバリアフリー旅行を勧めている立場でもあり、一念発起。ただ実は内心、大きなチャレンジだった。
「沖縄で行きたい場所ランキング」のサイトを参考にしてリクエストしつつ、今回の旅行行程の作成、ホテルや航空会社との交渉・連絡、移動手段の手配は、櫻スタートラベルで。以前、沖縄に住んでいて土地勘のある代表に半ば丸投げして、本当に行けるのだろうかという不安を抱えながらも楽しみに出発日を待った。
自宅のある奈良を出発した時は、気温2度。那覇空港に到着したらなんと20度!一気に春が来たみたい。飛行機の中から見えていた空港付近の青い海に、すでにストレスは解放状態!
移動は、ノンステップバスの範囲も限られているし、レンタカーも難しいので、観光タクシーを時間貸し。事前に「車いすユーザーであること」を伝えておいてくれたので、タクシードライバーさんは車いすの出し入れはもちろん、立ち寄った先で押してくれるなどのサポートも自然にしてくれて、とても助かった。
意外とどこに行っても、坂が多かったりして、一人だと確実に心が折れていただろうと思う。
空港からまずは一気に北上、古宇利島へ。ここはパワースポット。古宇利大橋を渡って、高台にあるオーシャンタワーからの景色は絶景。波の浸食でできたハート岩には車いすではいけないので、私は車で待っていて、写真を撮ってきてもらうという。そんなのもアリ。
そこから美ら海水族館に行ったときは、閉館時間をちょうど過ぎていて入れなかったのだけれど、プールで泳いでいるイルカがたくさん見えた。ここから見る夕焼けはとてもキレイだった。
そして中部のアメリカンヴィレッジへ寄った後、宿泊先のホテルへ。予約したバリアフリールームは、当然のことながらトイレもお風呂も洗面も使いやすく設計されていた。
2日目は、世界遺産の首里城へ。戦争で一回消失して今あるのは復元だけれど、ここも一度は見ておくべき!
国際通りでバリアフリーツアーセンターにも寄って挨拶をして、お昼ご飯を食べてモノレールで空港へ。実に充実して満喫した旅行となった。
私自身、人生観を変えるような景色に出会うことを旅行の最優先目的にしていることもあって、今回は特に古宇利島に行けたのは大満足だった。国内にも海外にも、見ておきたい景色がもっとたくさんあるはずだ。
確かに障害や病気があればそれだけで行く前は不安だし、本当に行けるのかとも躊躇してしまうのだけれど、「それでも行きたい!」という強い気持ちと工夫でなんとかなりそうだと今回実感した。そして、環境整備や合理的配慮をきちんと考えて安心感を与えられる旅行会社もやはり大事なのだ。
今回私は少し自信がついて、次はどこに行こうかな、どこに行けるかな、と次の旅行を楽しみに思えるようになってきた。
[執筆者]
太田 啓子
[プロフィール]
シャルコー・マリー・トゥース病という難病により、車イスユーザーの障害当事者。現在は、仕事をしながら趣味を満喫しつつ、地域生活をしています。好きなことは、食べることときれいな景色を眺めてぼーっとすること。