ケアでひろがる、ケアでつながる 支えあいの情報モール HELP ON HELP

15年前にスタートした「ケアする人のケア」の研究事業。立ち上げ当初に出会った二人がそれぞれの気づきや成長を語り合うコラム。「ワーク…

仕事も生き方も、整理整頓!奈良の森口さんへ
北海道の中村です。この往復書簡コラムを初めて1年になりますね。昨年は雪がなくなったのが5月でした。今年は4月初めに雪がなくなり、ふきのとうや福寿草が盛んに花を咲かせています。こちらではこれから白樺の花粉が飛びます。ひどい花粉症ではありませんが目が痒くなって困る季節です。高齢者住宅スタッフとのグリーフケアをテーマとした勉強会。報告を興味深く読ませていただきました。私の体験や思いを当時森口さんはとても丁寧に聴き取ってくださったことを思い出します。今でもその利用者さんのことは名前、姿ともしっかり覚えています。生きていた証として私の心の中にいます。高齢者グループホームや高齢者住宅では今後看取りの役割が課せられる方向です。制度ばかりが先行して進んでしまい、働くスタッフの心が追い付いていかないのではと心配です。スタッフが体験するグリーフへの支援もこれから取り組むべき大事なケアの一つになりますね。


[アートアクティビティ創作工房とんぼ玉 こいのぼり2015]

高齢者介護の現場で働き始めて20年になります。ニュースでご存じのとおり4月からの介護保険改正で現場には激震が走っています。私の職場も(通所介護)サービスを提供する時間を長くすることとなりました。不安が伴いましたが実際に行ってみるとスタッフの動きにゆとりが生まれ以前よりもゆっくりとケアができるようになったのです。驚きの結果でした。介護スタッフが行う仕事とリハビリにかかわるスタッフが行う仕事を整理してみたことが良かったようです。新たに事業所ができて、こうしたら良いのでは、このことを行ったら利用者さんにも良いのではないかと重ねられていった仕事がいつの間にかスタッフに重くのしかかっていく。このようなことはありませんか。


[アートアクティビティ創作工房とんぼ玉 壁絵「茶摘み」]

私の職場もそうなっていたようです。利用者さんにとって大事なことは何かを整理しておおもとから見直すことは大きなきっかけがないとできないことです。職場の断捨離ではありませんが現状を見直し整理整頓をしてみることがより働きやすい環境を作り出していくことを今回学びました。「一度すべてをゼロにして考え直しませんか?」と発言した時はスタッフに「そこまでしなくても」と言われましたが(苦笑)。その位の気持ちでという意味もあっての発言だったのですけどね。

ワーク・ライフ・バランスという言葉を内閣府が提言していて通勤時に駅で広告を見かけていました。自分の年齢を考えてそろそろライフワークの比重を多くしたいと感じていた時でした。「ケアする人のケア」に出会った頃から私は「介護の世界にアートを取り入れること」をライフワークにしたいと思っています。この3月より高齢者デイサービスでの仕事を減らし「アートアクティビティ創作工房とんぼ玉」の活動に重きを置くことにしました。現場からは離れずにとんぼ玉の活動を増やすにはどうしたらよいか悩んでいましたが、思い切って舵をきりました。自分の今の生き方も整理整頓です(笑)。制作セットを持って施設に実際に出向き活動する時間を増やす予定です。半年通っている施設があるのですが利用者さんも制作する力がどんどんついてきて目を見張るばかりです。切ったり貼ったりができなくても、私たちが切った花びらを規則正しく重ねて置いていってくれる男性利用者さんがいて、その重ね方がきっちりと美しく「これもアートだなぁ」と感じました。

森口家では新しいこいのぼりは購入されましたか。もうすぐ子供の日ですね。「ぶたばあちゃん」の絵本、機会があればぜひ読んでみようと思います。

2015年4月 中村明子