ケアでひろがる、ケアでつながる 支えあいの情報モール HELP ON HELP

第2回は「栄養と高齢者の食事」についてのお話です。たんぱく質、ビタミン、ミネラルなど栄養素の働きや、栄養を意識した食事のとり方が…

食事の楽しみは、いつまでたっても生活の基本になるもので、たとえ認知症や高齢となって味付けや食感の希望を伝えられなくても、ご本人はとても楽しみにしておられるものです。前回は食事のタイミングや食べやすさについてお話ししました。今回は栄養について考えます。 ①炭水化物(糖質) 栄養素の中でどれが大切というわけではありませんが、炭水化物はエネルギーの補給の上で重要です。消化吸収も簡単で毎日の食事の基本です。ごはん、パン、うどんなど主食として摂られています。体力の維持のためにおいしく食べる工夫が必要です。 ②蛋白質 肉、卵、魚などに含まれます。また大豆から作る豆腐、豆乳、湯葉、納豆などにも含まれます。体を作る基本で筋肉の力、血液の材料として大切です。熱を加えると硬くなり消化しにくくなります。お刺身のように生食も考えてください。ただし高齢者は胃の中での殺菌力が落ちていますので、生ものにはこの点の注意が必要です。 ③脂肪 エネルギー源として少量で多くの力を発揮しますので、この点は有効です。大きく分けて動物性と植物性があり、動物性は牛肉、豚肉の油分、植物性は、なたね油、オリーブ油、ごま油などですが、一般的に植物性の方が消化しやすいと考えられます。コレステロールの含有量にはそれぞれの食材で差がありますが、高齢者の場合制限しすぎるのはかえってよくありません。ただしご高齢の方は脂っこい食事を好まれない傾向がありますので、油分の量には注意が必要です。 ④ビタミン・ミネラルなど ごく少量で身体のいろいろな機能を円滑にする作用を持っています。ビタミンA、B群、C、D、E、Kなど、またカルシウム、マグネシウム、カリウム、亜鉛、鉄といった多くのものを摂る必要がありますが、普通の食品に充分含まれていますので、牛乳、卵、野菜や海草、魚介類、肉類などを満遍なく食べることで補えます。 どの栄養素も量の多少より食品の種類を多く食べることが大切です。また、前回にもお話ししましたが、美味しく食べることで消化や吸収もよくなりますので、そちらの気配りがより重要です。 [執筆者] 中島孝之 [プロフィール] 1943年生まれ。関西医科大学卒業同大学院修了。医学博士、脳神経外科専門医。1990年大和郡山にて中島医院開業。奈良県立盲学校校医・非常勤講師。元大和郡山市医師会会長。1998年大和郡山市介護保険要介護認定モデル事業委員長、同市要介護認定審査委員。奈良介護保険研究会世話人。