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第3回は「軟らかい食材」についてのお話です。噛む力が弱い方も食べやすい、軟らかい食材が紹介されています。また、料理を見たときの印…

今回は、食材の食べやすさ、堅さ(軟らかさ)、について考えます。多くの高齢者は、噛む力が弱かったり、歯が抜けたり、痛みのため噛めなくなって食事のたびに苦労されています。しっかり噛める方については、次回に触れますが、今回は刻む、ミキサーにかける、といった方法ではなく、加熱するか、そのままでも軟らかい食材を挙げてみます。
すぐ思いつくのは豆腐、粥、スープといった、誰でも普通に食べている食材。また、ゆでる、煮るといった調理法で、噛まずに舌の先と上アゴの間でつぶせる程度の堅さになるものでは、じゃがいも、さつまいも、かぼちゃの皮を取ったもの、カブ、大根、山芋、人参、カリフラワー、グリーンピースなどの豆類(皮の部分の軟らかいもの)、アスパラガスの穂先や皮をとった軸なども煮込むことでとろけるほどに軟らかくなります。良く煮込んだ牛肉、鶏肉や魚も同様です(豚肉はあまり軟らかくならないようです)。また冬瓜は煮ると半透明になって軟らかそうに見えますが、堅さが残ります。ゆで卵、たまご焼き、特に出し巻きはふわっとしています(目玉焼きは卵白が堅くなります)。
反対に軟らかくても噛み切りにくい食材、例えばコンニャク、あげ、腰の強いうどん、スパゲッティ、ラーメン、ハム・ソーセージ、生野菜(サラダ)、おこわ(赤飯)、高野とうふ、お餅、きのこ類、レンコン、竹の子などは、健康な高齢者でも嚥下に注意する必要があります。
栄養のバランスからは生野菜も食べたいと思いますが、マッシュポテトにみじん切りにしたきゅうり、赤や黄色のパプリカ、人参、玉ねぎ、チーズなどを加えマヨネーズや生クリームでまとめることで、箸やスプーンでも食べやすくなります。彩りもとてもきれいです。
ミンチ肉もロールキャベツとして充分煮込めば、箸で簡単に切れるほどに。またちょっと贅沢ですがビーフシチューも料理として軟らかいものの中に入るでしょう。料理の形のない刻み食やミキサー食でなく、料理らしい料理が並ぶ食卓をなんとか目指していただきたいと思います。

[執筆者]
中島孝之

[プロフィール]
1943年生まれ。関西医科大学卒業同大学院修了。医学博士、脳神経外科専門医。1990年大和郡山にて中島医院開業。奈良県立盲学校校医・非常勤講師。元大和郡山市医師会会長。1998年大和郡山市介護保険要介護認定モデル事業委員長、同市要介護認定審査委員。奈良介護保険研究会世話人。