情報が猛スピードで飛び交う時代だからこそ、腰を落ち着けてじっくり読書。そして、サルのふり見てわがふり直せ!? ヒトの姿も、ちょっと違…
サルたちが教えてくれること
昨年の夏をにぎわせたSEALsの若者たちの政権批判、みなさま覚えてらっしゃいますでしょうか?格差を警鐘したピケティのブームはまだ過ぎさっていませんよね?情報が猛スピードで飛び交う時代だからこそ、腰を落ち着けてじっくり読書。そして、今年は「申年」ということで、こんな本を。サルのふり見てわがふり直せ!? ヒトの姿も、ちょっと違った視点で眺めてみたり。
『サル その歴史・文化・生態』では、『裸のサル』のデズモンド・モリスが、古今東西、ヒトとサルがどんな風にかかわってきたのかを軽妙に解説。神様と崇められるサル、王妃のペットにされるサル、動物実験に利用されるサル(…なんてことを!)。画家が描いたサルなど図版も豊富。奈良町の町屋にぶらさがる庚申さんの写真も。
『道徳性の起源 ボノボが教えてくれること』は、道徳は理性や神様が生んだのではなく、霊長類の進化からボトムアップ的に誕生したものだと説いた一冊。ボノボは、ヒトにもっとも近い霊長類。コミュニケーションを重視し、おだやかで融和的。つまり、いいやつなんです。『社会はなぜ左と右にわかれるのか 対立を超えるための道徳心理学』は、サルではなくヒトの道徳の本ですが、合わせてどうぞ。リベラルが負けてしまう理由を教えてくれます。
『1はゴリラ かずのほん』は息抜きに。2はオランウータン、3はチンパンジー。じっと、こちらを見つめるまなざし。そして、最後は…。ゴリラが大好きな作家アンソニー・ブラウンの絵本です。
【この原稿は、奈良の地域マガジン『さとびごころ』http://satobigokoro.org/から提供いただき再掲したものです。】
サル デズモンド・モリス/著 白水社
道徳性の起源 フランス・ドゥ・ヴァール/著 紀伊国屋書店
社会はなぜ左と右にわかれるのか ジョナサン・ハイト/著 紀伊国屋書店
1はゴリラ アンソニー・ブラウン/作 岩波書店
[執筆者]
嶋田貴子
[プロフィール]
2002年より奈良暮らし。図書館司書を経て、奈良の地域マガジン『さとびごころ』の編集&執筆に携わる。 あちこち出かけて、見たり、知ったり、食べたりすることが好き。そして、志のある人に出会って、お話を伺うのも大好き