漬けてみたかった梅干し、今年は自作してみました。 大好きな祖母が漬けていた懐かしのしょっぱい味で。
初めての梅しごとを振り返ると、梅干しができるまでの時間が、とても豊かで愛おしいものでした。
漬けてみると、本当に簡単な工程です。梅選び→優しく洗ってヘタを取る→塩につける→梅酢があがれば、お好みで赤紫蘇を入れる→天日に干す→好みで梅酢に戻す。
予約注文の梅を受けとり、あ、梅干し漬けるんだなぁと実感しました。梅を洗っていると、手先の感触がやさしく、産毛がまるで生き物のようでした。娘が手伝いに来ると、夏祭りのスーパーボールすくいのようになりました。ヘタをとっていると、ひとつひとつの梅と対話している気分になりました。塩を入れて重石をして蓋をすると、娘が戻ってきて「おいしくなあれ~」と魔法をかけてくれました。毎日、梅酢の上がり具合を確認していると、「あがってきたよ」と教えてくれました。娘のいない間に赤紫蘇を足すと「あ!梅干しさん赤くなってるよ~!」と心底驚いた風に叫んでいました。梅干しの瓶が増えていることに気づかない夫に、瓶を指さすと、「お、梅干しか~。懐かしいなぁ。」と。お天気を見ながら、干す日を決めて。この日!と思う日に、ひとつずつ梅干しを干していると、もう、かわいくて、孫ができたような、そんな気分です。
そんな気持ちのこもる梅を、父子でつまみ食いをする様子が楽しそうでした。完成までになくなるかもしれないと危惧もしましたが。。。
梅しごとしながら、想い出も蘇ってきました。祖母の逝去後も残っていた梅干し。「おばあちゃんの梅干しも、これが最後やなぁ」と言いながら、最後の1つを食べたのは、私だったかな、父だったかな。
今回の梅しごともそうだけれど、手仕事を通して、言葉にしきれないものを実感として味わえます。暮らす実感、生きる実感、それが、豊かさにつながっていくのではないかしら。
気になる方はぜひ。特別な容器を買わなくても、ジップロックで漬けられます。少量からでも大丈夫です。早ければ2か月くらいで食べられますし、お味噌より手間がないように思います。
[執筆者]
三輪 知子
[プロフィール]
あろままlife with aroma&cooking。夫と小さなこどもとの3人暮らし。元ソーシャルワーカー、子育て楽しみ中。精油をつかったトリートメントサロン、精油のワークショップ、自然食のクッキングクラスを開いています。自然の恵みをめいっぱい感じながら、もっと肩の力をぬいて、もっと楽な暮らしを。