ケアでひろがる、ケアでつながる 支えあいの情報モール HELP ON HELP

2016年から町長を務める池田牧子さん。夫の介護、子育て、町役場の職員。自身の経験と住民の生活や想いを重ね、いま考える「まち」とは。

活動内容

高知県・いの町

高知県の中央部に位置して愛媛県との県境にもあたり、清流とかかわりのある3つの町村 (伊野町、吾北村/ごほくそん、本川村/ほんがわむら)が2004年に合併して「いの町」となり、人口約2万人の町です。

四国でも最も透明度の高い「仁淀ブルー」と呼ばれる美しい川や、ドライブやツーリングで山からの絶景を楽しむ「UFOライン」など豊かな自然にあふれ、「土佐和紙の町」としても有名です。

仁淀川の水のおかげで製紙業が発展し、その紙を運ぶためにいち早く鉄道が敷設されたという歴史もある土佐電鉄の終着駅(いの駅)もあります。

そんないの町で2016年から町長を務めているのが池田牧子(いけだ まきこ)さん。いの町へ訪問したときに受けとった名刺も土佐和紙で作られていて柔らかく温かみを感じました。

[写真:一般社団法人 いの町観光協会]

子どもたちが成長していく姿を夫に見せたい

池田さんはいの町(旧・伊野町)出身で、関西の大学を卒業後に伊野町役場で働きはじめ、夫の勇さんとの結婚を機に大阪へ移り住みます。

10年の歳月をへて、勇さんが悪性度の高い脳腫瘍と診断され、それまで住んでいた大阪を離れることに。夫と幼い子ども2人と一緒に高知に戻り、池田さんは伊野町臨時職員として再び働き始めました。

子どもたちが成長していく姿を夫に見せたいという想いから、自宅をバリアフリーに改修し、行政の制度も活用しながら在宅介護をして、町職員としての仕事も続けていきます。

伊野町役場で再び働きはじめて7年後、池田さんが町長になる16年前の2000年に夫の勇さんは亡くなられました。

その後、町役場の総務や財務を経て、2010年に「いの町立特別養護老人ホーム偕楽荘」で所長を務め、2012年3月に退職後にいの町長選挙に立候補し、1回目は約600票の差で届かなかったものの2回目の2016年で当選を果たしました。

誰もが自分らしく暮らせる町にしたい

「介護は出口のないトンネルにいるようだった」

「役場の職員だったからこそ知れた制度や介護の情報などもあった」

池田町長は当時を振り返って言います。

自分自身の人生、夫の人生、子どもの人生、町に住む人たちの人生。

自分も含むさまざまな人たちの暮らしを考えていくなかで、池田さんは何を支えとして、何を支えてほしいと感じ、どう生きたいと考えていたのでしょうか。

「障害があってもその人らしい生き方はできる。本人が死ぬまで家にいたい、自分の好きなものに囲まれたいと願うなら、その意志を尊重したい」

この言葉はきっと在宅介護に限らず、一人ひとりの暮らしを考えている言葉なのだと感じます。

たとえば、いの町が2018年3月に作成した「高齢者福祉計画(2018年度~2020年度)」には次のような施策があります。


高齢者と障害児者が同一の事業所でサービスを受けやすくするため、介護保険と障害福祉両方の制度に新たに「共生型サービス」を位置づける。

「共生型サービス」とは、障害者が高齢者になった場合に、なじみの事業所を利用し続けられるように、障害福祉サービス事業所が介護保険事業所としての指定を受けやすくする特例を設ける仕組みのこと。

つまり、在宅介護のみならず、その人らしく生きることができる場所や機会をどうすればつくろうとされています。

さらに施策を見ると、高齢者や障害者の福祉だけでなく、子ども・子育て支援、教育、産業振興など、さまざまな視点から「誰もが自分らしく暮らせるまちづくり」を町全体で考えようとしていることも分かります。

普段、人前で講演をするということはあまりないという池田町長。

そんな池田町長が、2020年2月29日に高知県高知市で開催される「ケアする人のケアセミナー in こうち 」に登壇されます。池田町長のいわばプライベートな部分を交えて聞くことのできる貴重な機会でもあります。

「周辺の人たちから『姉さん』と呼ばれているんです」と笑顔で話す池田町長。

夫の妻として、子どもの母として、町の姉さんとして、1人の池田牧子さんとして、自身がこれまで経験してきたことと、これまで支えてきてくれた人たちの考えや想いを重ねた、現在のいの町の「誰もが自分らしく暮らせるまちづくり」が気になります。

 

ケアする人のケアセミナー in こうち

「ケアする人が心身ともに健康であってはじめて、他者を気づかう支えあいの社会が実現できる」との考えから、1999 年からケアする人を支えるための活動として、全国各地で「ケアする人のケアセミナー」を開催しています。

今回は高知県高知市で開催。地域で活動している人たちから「共助」の実践を学び、その後、参加者同士で語り合います。みなさまのご参加をお待ちしております。

 

WEBお申込みフォーム
新型コロナウイルス感染が拡大している状況を受け、参加者の皆様、ご登壇者様、関係者の皆様の健康と安全を最優先に熟慮した結果、開催を急きょ中止させていただくこととなりました。 → 詳細はこちら

[日時]
2020年 2月 29日(土)10:00~16:30(受付9:30〜)

[会場]
高知県立ふくし交流プラザ 多目的ホールおよび研修ルーム

[参加費]
無料(要申込・先着200名様)

[内容]
①講演/いのちの世話:その1
「誰もが自分らしく暮らせるまちづくり」 池田牧子(高知県 いの町長)

②講演/命の世話:その2
「なぜ人は助けるのか」 播磨靖夫(一般財団法人たんぽぽの家 理事長)

③昼食

④「しあわせ色」コンサート 
「きっと明日はしあわせ色」 堀内佳(シンガーソングライター)

⑤分科会
1「ケアとテクノロジー」
2「食卓共同体〜食を通して人と人をつなぐ〜」
3「依存問題と家族」
4「てつがくカフェ 〜ケアを紐解く〜」

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[主催]
一般財団法人住友生命福祉文化財団
一般財団法人たんぽぽの家

[運営主体]
「ケアする人のケアセミナー in こうち」実行委員会

[後援(予定)]
高知県、高知県社会福祉協議会、高知市、高知市社会福祉協議会、特定非営利活動法人高知ダルク、高知県断酒連合会、特定非営利活動法人食と健康を学ぶ会、高知県高齢者福祉生活協同組合、高知新聞社、朝日新聞高知総局、毎日新聞高知支局、読売新聞高知支局、RKC高知放送、KUTVテレビ高知、KSSさんさんテレビ、KCB高知ケーブルテレビ、エフエム高知

[お問い合わせ]
●FAX、電話、郵便でのお問い合わせ
「ケアする人のケアセミナー inこうち」実行委員会事務局
〒780-0822 高知市はりまや町3-16-8 アートセンター画楽内 ☎088-878-8765 FAX 088-878-8685

 


[参考/引用]

■毎日新聞:支局長からの手紙 夫の死乗り越え /高知
 https://mainichi.jp/articles/20180806/ddl/k39/070/358000c

■日本記者クラブ:高知県唯一の女性首長・池田牧子さん/夫の死乗り越え、町長に
 https://www.jnpc.or.jp/journal/interviews/35022

■いの町役場
 http://www.town.ino.kochi.jp/

■一般社団法人いの町観光協会
 https://www.inofan.jp/